ユネスコ・チェア「文化遺産と危機管理」
2024年度第18回 立命館大学ユネスコ・チェア「文化遺産と危機管理」国際研修
立命館大学 歴史都市防災研究所・ICCROM(文化財保存修復研究国際センター)共催
1. 日程
オンライン – 2024年7月29日(月)~8月16日(金) 15:00-17:30 (日本時間)
オンサイト – 2024年8月30日(金)~9月13日(金) 9:00-18:00 (日本時間)
2. 背景と目的
「文化遺産と危機管理」に関する国際研修は、2005年1月に兵庫県神戸市にて開催された国連防災世界会議(UN-WCDR)主催「文化遺産の危機管理に関する特別テーマ会合」で採択された提言を受けて実施するものです。その中で、有形・無形の文化遺産を危機管理に取り入れ、科学的研究・教育・訓練プログラムを開発する必要性が提唱されました。世界遺産委員会の第30回会合(リトアニア共和国ヴィリニュス、2006年7月)では、世界遺産における防災文化を構築するために、知識・技術革新・教育を強化することの重要性が改めて指摘されました。今年に至るまで、75ヶ国より総勢193名の専門家が、本研修を受講しています。
本研修での主な目的は、文化遺産の危機管理における様々な側面について、理論的かつ実践的な知識を提供することです。
詳細につきましては、下記のURLをご参照ください(リンク先:英語)。
https://rdmuch-itc.com/itc/
3. 本年度(ITC 2024)のサブテーマ
災害の危機管理において、無形文化財と有形文化財をリンクする
![Pic. 1 Japanese Traditional Skills & Techniques of Roofing, the Intangible Cultural Heritage for the Restoration of Tangible Cultural Heritage (picture is provided by National Society for the Preservation of Roofing Technology for Shrines and Temples, Japan)](https://rdmuch-itc.com/wp-content/uploads/2024-call-for-applications1-1024x768.jpg)
![2 Floats (Hikiyama) in the historic street during Otsu Festival, the Intangible Cultural Heritage has created cultural spaces, community bonds, and social cohesion that are essential for DRM.](https://rdmuch-itc.com/wp-content/uploads/2024-call-for-applications2.jpg)
Pic. 1 無形文化遺産「屋根葺き替えの伝統的技術・技法」を有形文化遺産の修復に役立てる (写真提供:全国社寺等屋根工事技術保存会)
Pic.2 大津祭における曳山:無形文化遺産が文化的な空間、共同体の繋がり、社会的な一体性を生んでいる様子。いずれも災害の危機管理には不可欠なものである
文化遺産の災害リスク管理は、有形・無形の要素を含む多面的な取り組みである。
有形要素には、文化遺産を構成する歴史的建造物、遺跡、物品が含まれ、無形要素には、それらに関連する伝統的な知恵、行事、文化的慣習が含まれる。効果的な減災、災害への備え、災害への対応、災害からの復興に取り組むためには、これら2つの側面の関連性を理解することが極めて重要である。
有形の遺産を保護するだけでは不十分であり、それに付随する無形の側面を考慮しなければならない。伝統的な知恵、行事、儀式、地域社会の慣習は、災害に直面した際のレジリエンス(回復力)や対処メカニズムを構築するための貴重な宝である。
それらは、リスクを軽減し、状況の変化に適応し、災害の影響から回復するために必要な手段や戦略をコミュニティに提供する。
2020年、無形文化遺産(ICH)「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」が人類の無形文化遺産の代表リストに登録された。
これは、伝統的な木工技術、伝統的建造物の装飾、伝統的建造物の修復技術など17種類の技術を通じて、有形文化遺産の持続可能性に向けたICHの貢献を取り上げた素晴らしい事例である。これらは、様々な自然災害や人為的災害による災害から文化遺産を守るための重要な技術である。
したがって、今年のITCでは、文化遺産の災害リスク管理における有形と無形の次元のつながりを強化する戦略、手段、方法論に焦点を当てる。
これには、評価、脆弱性、リスクの特定、減災、事前対策、事後対応、復旧などの対策が含まれる。
頻発する災害が人々の生活、生計、文化遺産に広範な影響を及ぼす中、世界中のコミュニティは災害リスク管理に貢献できる豊かな伝統的・固有の知識を培ってきた。
また、これらの知識体系は、文化遺産や博物館の災害リスク管理計画に組み込むべき、有形と無形の本質的なつながりを体現している。
この学際的な研修では、日本のみならず世界各地の地域的、地理的、気候的、社会的特徴に応じて開発された伝統的・地域的知識に基づく様々な災害リスク軽減策を参加者に紹介する。
4. 研修の進め方
今年の国際研修はオンラインと対面での講義を含むハイブリッド形式で行われます。研修期間中は、国内外の専門家によるテーマ別の講義、ワークショップ、現地視察、フィールドワークが行われます。
1) オンライン研修は3週間にわたって実施されます。毎週、2回のオンライン・ライブ・セッションと、研修生のケーススタディ・プロジェクトに対するメンタリング・セッションが1回ずつ行われます。
2) 対面研修は2週間にわたって実施され、現場視察と実地演習が中心となります。
3) 研修生は、それぞれの国から文化遺産や施設を1つ選び、研修期間中に災害リスク管理計画を作成し、研修の最後に発表をしてもらいます。
5. 募集対象者
文化遺産の保全や危機管理に携わる専門家(最大15名)を、世界各国より選定します。
6. 使用言語
英語
7.参加費
無料
8.旅費・宿泊費・生活費
京都までの往復の交通費は参加者の負担となります。
コース運営に係る費用はITC事務局により負担されますが、宿泊費、昼食費、視察にかかる費用として日本円で35万円ほどをコース終了後徴収いたします。事務局により宿泊施設を指定・予約いたしております。
候補者は、政府機関、雇用主、資金提供団体などから経済的支援を求めることが強く推奨されます。経済的な必要性が証明された場合、また研修開始時に外部資金の利用可否に応じて、一部の研修生へ奨学金が支給される場合があります。
9.コース修了者に与えられる特典
- コース修了証書
- ITC2024報告書への論文掲載
本研修のプロジェクトで作成された危機管理プランに基づいて、ITC2024報告書に、論文が掲載されます。 - ウェブサイトへのポスター掲載
本研修のプロジェクトで作成された危機管理のプランに基づいて、立命館大学 歴史都市防災研究所・ICCROMのウェブサイトに、ポスターが掲載されます。
10. 募集に関する必須事項
11. 募集締め切り
2024年4月5日 24:00 (日本時間)
2024年4月19日 24:00 (日本時間) 締め切り延長
※応募書類はwordファイルでご提出ください。
12. 提出先
r-itc@st.ritsumei.ac.jp
13. これまでの研修
過去年度の国際研修コースについての詳細は、下記ページをご覧ください。