ITC2021は無事終了しました

文化遺産とリスクマネジメントに関するユネスコチェアプログラム 2021年8月23日から10月7日まで文化遺産の災害リスクマネジメントに関する国際研修コース(ITC)、日本、京都にて開催。

主催:立命館大学 歴史都市防災研究所

協力:ICCROM

寄稿:UNESCO, ICOM & ICOMOS/ICORP

15年目を迎えるITC2021

2021年8月23日から10月7日までの7週間、「文化遺産とリスクマネジメントに関するユネスコチェアプログラム-第15回文化遺産の災害リスクマネジメントに関する国際トレーニングコース(ITC)」が成功裏に開催されました。今年のコースには、13名の参加者と2名のオブザーバーが参加しました。参加者とオブザーバーは、コロンビア、クロアチア、エジプト、日本、ケニア、コソボ、ラトビア、北マケドニア、フィリピン、ポルトガル、スイス、アメリカ合衆国、イタリアからの参加者です。世界各地から124名の応募があり、競争的な選考を経て選出されました。今回の参加者は、文化遺産管理者、災害リスクマネジメントの専門家、文化遺産保護や災害管理に携わる意思決定者、政府関係者など、多様なバックグラウンドを持つ人々でした。

立命館大学の教員やICCROMのメンバーから講演がありました。また、文化庁、京都市消防局、京都国立博物館、宮城大学、京都橘大学、ラフボロー大学などの専門家による講義やワークショップが行われ、重要な知識や指導が行われました。コース期間中、研修生は文化遺産の災害リスクマネジメントの様々な側面について理解を深めました。本年度は、日本におけるベストプラクティスや革新的な取り組みの事例を紹介するとともに、海外の文化遺産保護・災害リスクマネジメントの現場から得られた問題点や教訓を紹介しました。

今年のITCのテーマは、「文化遺産の災害リスク管理」でした。日本の経験から学ぶ」というものでした。このコースでは、日本での経験に焦点を当て、それらが制度構造や法的枠組みだけでなく、実施や実践的な取り組みにどのように関係しているのかを学びました。これらの例は、政府レベル、町内会によるコミュニティベースの災害軽減努力、災害対応から復旧・復興計画まで多岐にわたっています。今年は日本での事例を取り上げるとともに、様々な視点を理解し、災害軽減の手法やアプローチについて包括的に理解するために、海外の専門家も交えて講義が行われました。

COVID-19の大流行で、フィールドワークの準備をするのは大変なことでした。現地訪問は常にコースの重要な部分を占めています。京都市では、遺産所有者や地域の方々の協力を得て、地域の遺跡をビデオで紹介するツアーを行いました。先斗町」では、京都の伝統的な町並みの中で、地域がどのように防災や避難に取り組んでいるかを紹介しました。清水寺では、急斜面に建つ木造文化財の水害・土砂崩れ・火災への対策を紹介しました。東本願寺では、スプリンクラー、ドレンチャーなどのハイテクを駆使した大型木造建築物の防火対策を見学しました。

ITCのライブセッションは、週2回、2時間ずつ行われました。毎週テーマを設定し、1日目に講義とディスカッション、2日目に関連するワークショップを行った。ライブセッションの前には、事前に録音された講義が提供されました。さらに、その週に学んだことをコア講師と議論し、各自のケーススタディ・プロジェクトを発展させるためのメンタリング・フィードバックセッションを実施しました。これらのセッションを通じて、参加者はパイロットプロジェクトを進めることができました。参加者の最終的な成果は、今年度末にプロシーディングスに掲載される予定です。

私たちユネスコチェアプログラム「文化遺産と危機管理」は、今後もこのようなアウトリーチ活動や研究成果の国際社会への発信を続けていきます。

立命館大学学長 中谷義雄による開会の辞

ICCROM ヴァレリー・マガール氏より開会の辞
災害復旧・復興プロセスに関するワークショップ
清水寺見学ビデオ
東本願寺、見学会動画
災害時想像力ゲームワークショップ
文化財の災害リスク管理に関する政府の方針について講演を行いました。
災害後のニーズアセスメントに関する講演会
緊急時対応に関する講演会
最終日!