ユネスコチェアとは?
1992年に設立されたUNITWIN/UNESCO Chair Programmeは、大学間の国際協力とネットワーキングを促進するプログラムです。世界の高等教育機関の強化、知識格差の是正、大学の専門知識の動員、持続可能な開発のための2030アジェンダに向けた協力などを支援しています(出典 https://en.unesco.org/themes/higher-education/unitwin)。
ユネスコチェア「文化遺産と危機管理」の歴史
立命館大学は、文化遺産防災の国際的な教育研究拠点として、2003年に「歴史都市防災研究所」を設立しました。2005年1月に神戸で開催された世界防災会議(WCDR)では、文化遺産の危機管理に関するテーマ別会合が開催され、文化遺産の危機管理に関する提言がなされました。その後、この提言のフォローアップとして、2006年にユネスコチェア「文化遺産と危機管理」が開始されました。
目標
ユネスコチェア「文化遺産と危機管理」は、文化遺産の災害危機管理に関する集中的な教育プログラム、科学的ネットワーク、研究成果を促進することを目的としています。動産・不動産、有形・無形の文化遺産に対するリスクを軽減するため、文化遺産に十分な対策を講じることを目指します。ここで想定される災害は、地震、津波、洪水、台風、地滑り、森林火災などの自然災害だけでなく、放火、破壊行為、テロ、生物災害を含む紛争などの人為的なファクターも含まれます。
国際研修
「文化遺産における災害の危機管理」国際研修は、本ユネスコチェア・プログラムの主要な教育プロジェクトであり、2006年以来、毎年実施されています。このコースは、文化遺産や関連する災害管理分野の政府機関、省庁、大学・研究機関、NGO、民間コンサルタントを対象としています。この3週間のコースは、専門家による講義、現地視察、演習、ディスカッションから構成されています。毎年、様々な国から10~15名の専門家が京都に集まり、日本の様々な歴史的な街並みを訪ねながら、研修を受けています。2022年までに、72カ国から180名の専門家がこのコースの研修生となりました。
フォローアップ活動
同国際研修のほかにも、災害危機管理(DRM)計画、緊急対応、文化遺産の復旧・復興を支援するための短期トレーニングコースを各国のフォローアップ活動として実施しています。
研究内容
また、ユネスコチェア・プログラムでは、各国の災害の危機管理分野に関する学術的な研究も行っています。国際研修の過去の参加者を含む専門家とその科学的ネットワークにより、歴史的なサイトにおける災害危機管理の計画と実施システムの構築を推進しています。